「契約者は損!?転換制度のカラクリを見抜く」
■転換とは?
転換とは、現在契約中の保険の解約返戻金(解約したら返ってくる部分、つま
り貯蓄性のある保険の貯蓄部分)を、新しく契約する保険の頭金に当てて新し
い保険に加入することです。
要するに「保険の下取り制度」。イメージとしては、古い保険を引き取っても
らい、新しい保険に乗り換えるということですね。
■転換制度の勘違い
転換制度を使うと、新規に保険に入るより保険料が安くなります。もちろん、
古い保険を解約したときに返ってくるお金を、新しい保険の頭金に充てている
からその分の保険料が差し引かれるわけですね。
ポイントは、自分で頭金を払っているわけで、保険会社が頭金を払ってくれた
わけではないということ。自分の保険に貯まっていたお金を頭金に使うわけで
すから、得でもなんでもないです。
■生命保険の大原則
ここで大切な大原則を思い出してください。
「生命保険は、年齢が高い人ほど保険料が高い」
つまり、新しく加入するより保険料は安くなるように感じますが、実際には新
しい保険の保険料は高くなっているのです。
そもそも古い保険を解約すれば返ってくるはずのお金を、新しい保険の頭金に
使ってしまっているわけです。新しい保険料は保険料が高いことを、頭金で誤
魔化している。トータルの保険料負担はむしろ重くなってしまうんです。
■既契約保険の見逃しがちなメリット
それに、既契約の保険にはたくさんのメリットがあります。
(1)若いときに入った保険は保険料が安い
(2)解約返戻金が貯まっている(終身保険部分)
(3)予定利率が高い(特に平成2年くらいまでのもの)
既契約にはこんなにメリットがあるのに、わざわざ「転換」して解約してしま
う必要はどこにもありませんね。保険の見直しの基本は、既契約を活かすこと。
車のように新しいものに買い換えればOKというわけにはいきません。
■転換は契約者にとって損
あえてはっきり言ってしまいますが、転換とは契約者が損するように、保険会
社が得するようにできている仕組みです。特に、現在のような予定利率の低い
時代には、契約者が損する可能性が高いです。
また、「古い保険には新しい特約が付けられない」などと言って転換を勧めら
れることがあります。でも、新しい特約は実は既契約の数々のメリットを殺し
まで付加すべき特約ではないことが多いです。
ベーシックな昔からある保険だけで、あなたの目的は必ず達成できます。
保障を拡張したい場合は、転換はせず、保障額を「増額」するか、新たに必要
な種類の(単体の)保険に加入した方が得です。
■転換制度は誰のため?
保険会社のために転換制度を利用してあげるのはやめましょう。古くて予定利
率のいい保険を、保険会社の方針(?)で予定利率の悪い現在の保険に乗り換え
させようとしている場合が多々あります。
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